フィラリア症は、蚊によって媒介された糸状虫が犬の心臓に寄生し心不全をもたらす、命にかかわる病です。虫体やその死骸、または肺動脈血栓により、肺の高血圧症や鬱血性心不全、肺動脈内膜炎、アレルギー性肺炎、糸球体腎炎をおこします。急性フィラリア症では、右心三尖弁に虫体が絡みつくことで重度の循環不全と血管内溶血をおこします。
無症状に進行しますが、重度では発咳、運動不耐性、体重減少がおこり、末期では循環不全の腹水による腹囲膨満がおこります。急性フィラリア症では呼吸困難、貧血、血色素尿、虚脱、失神などが表れます。
フィラリア症の予防は可能です。症状が表れる前に予防と治療を行います。体内に潜入してくる幼虫を駆虫しながら予防しますが、心臓に入った成虫の駆虫予防は急性フィラリア症の危険性があるため予防薬や予防方法が異なります。必ず病院へ相談のもと、予防を行ってください。(→予防のページへ)
フィラリアに感染している場合、感染予防をしながら寄生したフィラリアの寿命を待つ方法、フィラリアの免疫と生殖を司るボルバキア(リケッチア)を叩いて寿命を減らす方法、ヒ素化合物によってフィラリア虫体を危険ながらも駆虫していく方法があります。また、フィラリアによってもたらされた心不全、血管炎、肺炎に対する対症治療も重要です。
急性フィラリア症では、緊急手術になります。心臓内を詰まらせているフィラリアを除去する虫体塞栓除去手術を行います。
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